院長あいさつ

 

 

院長の松島です。

 

 

新型コロナ(COVID-19)で皆さん不安な日々を過ごされていることと思います。

当院では出入口、診察室の徹底消毒や定期的換気、スタッフ全員のマスク着用、

診察・会計ごとの手洗い励行など対策を取りながら診察させて頂いています。

また詳しい対策内容は、新着情報にアップさせて頂きますのでそちらをご覧ください。

 

 

 

今日は先日の避妊手術時に経験した珍しい症例について書きます。

 

 

まず、避妊手術を行う事のメリットですが

 

①望まない妊娠をさせない

②発情によるストレスの軽減

③子宮の病気にならない

④乳腺腫瘍の発生確率の低減

などがあげられます。

逆にデメリットですが

①確実に太りやすくなる

があげられます。

 

 

◇当院では

動物病院それぞれで基準はあると思いますが

避妊手術は生後6か月以内で体重が約2kgを目安に行う事をオススメしています。

 

もちろん、上記の基準にあてはまらない場合も手術可能です。

生後6か月というのは6か月以内に行う事によって乳腺腫瘍の発生確率を9割下げられるからです。

1年以内であれば8割下げられるので1年以内には手術してあげられるといいですね。

2kgという体重は麻酔の安全性の面から約2kgの基準をもうけております。

術前には血液検査もしっかり行ってから手術にはいらせていいただいております。

 

 

 

 

 

 

それでは本題。

~手術時の写真を掲載しているため苦手な方は注意してください!~

 

 

 

 

以前よりご来院頂いいている飼い主様が、先日新たに保護猫ちゃんを迎えられました。

避妊手術を行う事になり、術前検査を行って異常もなく手術に入りました。

 

麻酔も安定しておりいつものように開腹して子宮角を探ります。

通常子宮はYの字型をしていて左右の卵巣が先についています。(下図参照)

 

 

 

あるはずのものがない!

 

左の子宮角はすぐに見つかりましたが右側が見つかりません。

通常、左右の子宮角は尾側(しっぽに近い側)でつながって1本の子宮体になります。

ですが見つかった左側からたどってもありません。

 

そこで切開を広げて右側の子宮角及び卵巣を探りました。

すると、通常の半分の長さしかなく中に液体が溜まって腫れている子宮角の1部と

やや小さめの卵巣がみつかりました。

 

 

黄色の矢印が正常な左の子宮角です。

赤の矢印が右の子宮角欠損部で膜と微弱な血管のみがあり

それに水の溜まった子宮角の一部が見えます。

 

 

 

先天性の…

子宮角の全部や一部が発生段階で形成されないことがあるのですが猫では極めてまれです。

今回は右の子宮角の部分的な形成不全と子宮水症のケースでした。

 

 

 

猫の避妊手術はこれまで600件以上やってきましたが、

避妊手術という日常的な手術であっても新たな発見があるなあと痛感しました。

 

この猫ちゃんは術後も他の猫ちゃんと変わらず元気に過ごしています。

 

 

新たに仔猫ちゃんを迎える予定の方は避妊手術について獣医さんに早めに確認してみてくださいね。

 

 

 

2020年4月13日更新